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市橋織江の現在 “QUOTATION”という本の価値

目次

富士フィルム PRO400

カメラやフィルムの情報が載っている

写真集を見るだけではなくて、自分も写真が撮りたい、と思う人にとってとても有益な本だ。
もちろん道具を真似たからといって満足できる写真が撮れるようになれるわけではない。それでも最初は模索から入るのは悪くないと思う。

カメラ好きにも大きく分けて2つのタイプがいると思う。
一つは作品を作りたい、撮りたい、というタイプ。
もうひとつはメカとして修理したり所有したりするタイプ。

この本ではおそらく、カメラそのものにはそれほどこだわりはなく、道具としてこだわっているが、写真を撮るのを目的にしているタイプの人に向いていると思う。

銀塩で撮っているわけ

富士フィルムのPRO400。ブローニー版。プリントも自分でやる。すべての工程を自分でコントロールしている。アマチュアが気軽に暗室を用意するのは難しいが、カメラやフィルムならチャレンジできるはず。
それに作品の仕上がりは撮影が9割を占めるという。プリントでどうにかなるものではない、と。

なんでもかんでもアナログが良いと言うつもりはないが、デジカメしか扱ったことのない若い世代の人にも、一つの選択肢として試してもらえたらいいなと思った。

Mamiya RZ67で切り取る海外

写真集GiftとPARIS

それぞれの撮影時のインタビューが載っている。どんな気持ちで何を考えて撮っているのか。作品を見る楽しみとはまた別の、人間味あるインタビューが興味深い。

写真の基本知識はあると前提したうえで、市橋織江さん自身の言葉で彼女の撮り方がたくさん散りばめられている貴重な本だ。なぜ銀塩なのか、なぜあんなに重たいMamiya RZ69なのか。

カロリーメイトやスターバックス

写真集だけじゃなく広告写真も

広告でも積極的に活動している。本人も、ロゴや文字が似合う写真だといった趣旨の事を言っている。

広告と相性がいい。すばらしい事だ。カロリーメイトの広告はとても有名だ。JR東日本の「行くぜ、東北。」の写真もそう。「スターバックス」も、あげたらきりがない。

さらに動画の仕事もしていて本当にクリエイティブの幅がひろい。

好きな映画や本も

本の最後のほうには、好きな映画や本がいくつか紹介されている。写真だけじゃなくいろんなところから刺激をうけているのだろうな、と思う。

ディズニーリゾートでのお仕事

イマジニング・ザ・マジック

東京ディズニーリゾートでの「イマジニング・ザ・マジック」。こちらの市橋織江さんの撮ったミッキーとミニーの写真がすばらしい。ふたりのプライベート(?)を自然に切り取った写真が魅力的だ。

他にもフォトグラファーの方が何人か参加しているが、やはりそれぞれ個性があり、一目で彼女の写真だとわかる。

2013年の年末の本なのでディズニーの写真についてのインタビューは載っていないのだが、本屋でも写真屋でもなく、ディズニーで出会う写真がきっかけで写真に関心をもったりしたらいいな、なんて。

銀塩がどんどん減っていく

箱根彫刻の森美術館 市橋織江展

おそらく写真展のタイミングでこの本が出たのだろうが、今読んでも十分有益な本だと思う。むしろ多忙な彼女のインタビューを今やるのは難しいんじゃないかな。そういった意味ではよいタイミングでこの本に出会えた。

フィルムがなくならないでほしい

本が出てから数年経つが、富士フィルムのPRO400も生産が終了したらしい。
フィルムメーカーも会社を経営しているのだから、あまにりもニッチな市場だと商売が成り立たなくなるのだろう。フィルムだけじゃなく現像液とか機械とかも必要だし。

写真展や写真集などせまい世界だけじゃなく、広告やディズニーランド(!)でより多くの人が彼女の写真を知り、少しでも多くの人がフィルムに興味を持ってくれれば。

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