デロンギのオイルヒーターはすばらしい。ただし輻射熱による暖房というものを理解したうえで使わないとがっかりするかも。いろんな暖房機器を使ってきたが、デロンギ ドラゴン3 オイルヒーターが毎年活躍している。
目次
オイルヒーターは輻射熱による暖房機器
じんわり温かい
発熱量は消費電力に比例する。もちろん電力を熱に変換する効率も大事だが、基本的に消費カロリーが高ければ暖かい。
デロンギ ドラゴン3は最大1500ワットの消費電力になる。その電力をうまいこと熱に変換できればそれなりに暖かいのは当然なのだが、一部このオイルヒーターが暖かくないという評判があるようだ。
ポイントは熱に変換する仕組みにある。デロンギのオイルヒーターはパネル内に閉じ込めたオイルをアツアツに熱して循環させている。これが通常の暖房と何が違うのか。
熱にも種類がある
石油ファンヒーターは温風を出して空気そのものを温める。空気により部屋や人間も暖まる。石油の燃焼するカロリーによって暖房能力が変わる。
エアコンも同じく空気を暖めている。
いっぽうオイルヒーターなどは輻射熱を利用した暖房。パネルからでたエネルギーが壁に当たり、そこで部屋が暖まる。
太陽が暖かいのを想像すれば分かる。真空の宇宙空間は熱そのものを伝える媒体がない。遠い太陽からでたエネルギーが地球にぶつかった時はじめて熱に変わる。
エネルギーの大きさはケタ違いだが、陽だまりのような暖かさ、という表現はまさに仕組みそのものを表現している。
輻射熱による暖房だから
空気そのものが暖まるまでには時間がかかる。本体から熱も出るので空気も温まるがそれはわずかだ。壁や人の服を温め、やがてその温度も空気に伝わるだろう。
アマゾンのレビューなどても意見が分かれているのは、そういった暖房に対する特性の思い違いもあるかもしれない。
夜中つけっぱなしにできる
火を燃やさないため二酸化炭素も一酸化炭素も出さない。火災にもなりにくい。
水分も奪わないので乾燥しにくい。音も風も出ない。空気を温めるわけではないので、対流もおこりにくい。つまり暖かい空気が天井に溜まって足元が冷える、ということにならない。
寒い夜にはエアコンを弱くかけておくところも多い。火を使わないから火災やガスの心配はないが、残念ながら対流は避けられない。足元まで暖めるにはサーキュレーターなどで空気をかき混ぜて循環させるしかない。寝ている時風があたるのも気になるかもしれない。
オイルヒーターは就寝時にちょうど良い特性だと言えそうだ。風も音も火もでない。じんわり布団や体を暖める。
電気代は高め
エアコンでの暖房は実はとても効率が良い。デロンギなどオイルヒーターは電力をそのまま熱に変換しているが、エアコンの場合は外気温との温度差を室内に取り込む為に電力を使っている。もともとある暖かさを屋内に取り込んでいるのだ。
外気温が5度だとして、室外機のラジエーターが0度であればその差は5度になる。その5度を屋内に取り込めば、例えば20度の部屋を25度まで高められる。これはデロンギなど発熱するタイプの暖房器具に比べれば5,6倍ほども効率が良い。
そういう点で言うとオイルヒーターのデメリットは電気代の高さだ。メインの暖房として使えばひと月2万円ぐらい余計にかかるだろう。
ただ…電気代が高いのは、暖房機器の特性が原因だろうか。石油が安くて電気が高い日本の性質とも言えなくもない。
そうは言ってもここは日本。現実としてコストは高めだと言わざるを得ない。
建物の構造に左右される暖房機器
空気を温めないため部屋の密閉が重要なようだ。木造だと寒いなどと聞くが、材質の違いというより構造の違いが影響しているように思う。
コンクリート造は機密性が高いため冷たい空気が流入しにくい。マンションなどは暖まった壁や床が部屋の空気もじんわり暖める。もしそこに冷風が入ってきたら瞬時に空気の温度は下がるだろう。
最近では木造であっても高気密を意識した設計になってきているように思う。外気がしっかり遮断できていれば有効な暖房だと思う。
逆に外気が流入しやすい環境であれば、ファンヒーターやエアコンで空気を温めたほうが暖かいだろう。
上記はドラゴン3だが現行機種はコントロール部分が電子制御になっていてより便利になったようだ。
他の輻射熱の暖房機器も気になる
バルミューダ | SmartHeater2
これは気になる。デロンギはオイルを温めて輻射に使っているが、こちらのバルミューダはアルミのブロックを使っている。オイルよりクイックに暖まるようで、部屋が暖まるまでの時間を短縮しているらしい。
そしてなんといってもデザインがいい。過剰な装飾もなくアルミのラジエーターが見えているだけ。ミニマルなデザインが部屋でも主張しすぎず調和がとれそう。
Wi-Fiにつながりスマホでコントロールできたりと、今時のIoTなところもいい。ただ暖房器具としては値段が高い。
キャンパ ベルリス
これも気になる。フランス製のパネル型ヒーターだ。デロンギと違ってアルミとガラスによる構成で、片面からしか輻射されない。同じ消費電力であれば片面しか使わない分、暖かいはずだ。
また何と言ってもデザインがいい。ブラックのモデルはモノリスのようなミニマルなデザイン、ホワイトやミラーのものは美術品のような美しさがある。家電には見えないところがインテリアに馴染みそうでいい。
ただしこれもまた暖房器具としては高め。