エクスマキナ(映画)

mainimgin

画像は公式サイトhttp://exmachina-movie.jp/より引用

エクスマキナを観た。
まずはネタバレなしの部分で感想を。AI(人工知能)を題材にした作品としてはそれほど真新しいテーマではないが、その分ストーリーは理解しやすい。映像も違和感なく美しかった。全体的に不気味な雰囲気で、勧善懲悪のエンタメ映画ではないのでそういうのを期待している人にはオススメできないかな。誰が正しくて誰が罪を犯したのか、なかなか面白い。友達、恋人、誰と観ても楽しめると思う。あまり小さい子供には退屈な映画かもしれないけれど。(ちなみに俺は独りで観た)

目次

AI+サスペンス

で以下ネタバレ、ストーリーに触れる感想を。AIを真面目に描いているなと感じた。チューリングテストやフレーム問題にも触れている。学術的には稚拙に感じる言い回しがあるのかもしれないが、映画という大衆娯楽に放り込むテーマとしては十分深く真面目なのではないかな。AIに人格があるのか、ていうか人格って何なの?という疑問をテーマにしつつ、そこにサスペンス的な要素をうまく混ぜてエンタメ性を演出している。配役にも違和感なく、映像は極めて自然で映画に入り込めた。AIは人類の理想のような美しい容姿で、2001年のHALほどではないもののカリスマ性も感じられた。AIのセンセーショナルな部分、恋をするのかとか人類の脅威になるのか、というところと、AIには人格があるのか(必要なのか)とか人類の進化の延長なのか、という抽象的なテーマのバランスも良かった。青は藍より出でて藍より青しとは言うが、人類が産み出したAIが人類を超越するというエンディングには希望と不安を残し、メッセージ性としては印象深く思えた。

不気味なキャラクターたち

展開もまあまあ退屈せず、常に不気味なテンションで安心させずに観せてくれている。だが少し気になったのは、主人公にイマイチ感情移入できなかった点だ。不安な気持ちは十分共感できたが、エヴァに抱く恋心の点で共感しにくかった。エヴァの容姿以外、それほど魅力を感じられなかったからかもしれない。エヴァの生い立ちや主人公との協力などもうすこし掘り下げてくれれば、二人の絆も理解できたかもしれない。短い映画の中では難しいかもしれないが。またキョーコの存在も薄かった。AIが恨みや恐怖をもって人間に対抗する、というのに共感できなかったのかもしれない。初代ターミネーターでも思った事だが、人類が邪魔だからと言って武力で殲滅するというのはあまりにも短絡的で原始的すぎないか、と。マトリックスの世界のように人類に気付かせないようにうまいこと搾取するほうのが現実的じゃないかなと。未熟なAIは可哀想だ、ということが前提になっている。では例えば人間より知能が低いチンパンジーは可哀想な存在なのだろうか?人間より劣る存在なのだろうか?

道徳とは

結局ナイフで刺すという原始的な解決策や、社長が酒にだらしないという都合のいい欠点があったりするのがね笑。社長が悪人という設定なのかな?そこも少し気になった。人格的に問題があるかもしれないがそれと研究は別、彼のAIに対する開発の姿勢やモラル全てを否定する気にはなれなかった。チューリングテストに真摯に向かい合う姿勢は正しいと思うし共感できるが、でも一般的に見たら悪人なのかな、刺し殺されちゃうしね。オッペンハイマーの言葉を引用する下りがあるが、テクノロジーの発展とモラルの問題をもう少し掘り下げてくれてくれればより深くなったかもしれない。原子力は悪、オッペンハイマーも悪、社長も悪、という(分かりやすいが)設定に浅さを感じたのかもしれない。あんなに自信満々ではなく、社長の葛藤も描いてくれていれば人間味がもっと増し、さらに印象深かったろう。

インテリアがいい

映像は本当にすばらしい。実写とCGの境目も自然だし、インテリアのセンスも良い。モダンで人工的だが、それを補うべく大自然が建築に取り入れられている。あんなハイテク施設なのにリビングには薪が常設されていたし。ゴージャスな装飾はなく、おそらくグーグルをモデルにしているのかな?30代のCEOがいかにも好みそうなインテリアに見えた。
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ポスターがかっこいい

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