画像は公式サイトhttp://www.foxmovies-jp.com/odyssey/より引用
まずはネタバレしない程度にあらすじを。
火星での事故で取り残されてしまう主人公。その事故で死んだと思われていたため、誰も彼を救出には来ない。生存を伝えたくとも地球との通信の手段がない。次の火星探査までの4年間、火星での過酷なサバイバルで生き残らなければならない。はたして彼の運命は?
まあここからはネタバレというか映画を観て思ったこと。それは
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原作小説「火星の人」を読むべし!
俺の場合は先に小説を読んでいた。長編だが次から次に起こる災難とそれを乗り越えるアイディアが秀逸で、全然飽きない。過酷な状況を文章でしっかり説明してくれるし、それを解決するための手段を思いつくに至るまでの主人公の考えもよく分かる。理屈っぽい話は退屈になりがちだが、主人公の明るくユーモアに富んだ性格もあって少しも小難しく感じない。英語のユーモア要素を翻訳したせいもあってか少々くだけすぎた文体がウザいと感じるところもあるが、ところどころ笑もあり、むしろこんなに理屈っぽい話をエンタメに仕上げたな、と感心した。
映画版は省略されてて勿体無い
しかし映画の完成度はどうか。実は映画は省略されているエピソードがいくつもあるのだ。まずそれが勿体無い。火星の環境がどれほど過酷か。ひとりであれほどの長距離を移動する恐怖や勇気、希望と絶望の振れ幅、それらが映画版だとどうしても派手な演出になるため、あっさりしてしまう。もちろん映画には制約があるし逆に映像は文章では表せない表現ができる。ただ今回このオデッセイ(火星の人)についてだけ言えば、小説の密度がぴったりだったように思う。映画を観て、面白かったけどまあまあだったな、とか途中眠くなったな、とか思った人は是非とも小説を読んでみるといいかもしれない。
読むと元気になる
笑
これはそう、自己啓発本みたいなカンフル剤として、とにかく主人公が前向きでパワフル。命ギリギリの発狂しそうな状況に直面しても、睡眠時間の確保を優先し「明日考える!」とか言ってふて寝してしまうところとか。問題に直面しても乗り越えられればよし、別にシリアスにならなくてもいいじゃないか。落ち込んでウジウジしがちだが、どうせ乗り越えるなら明るく楽しいほうがいい。もちろん主人公は努めて明るく振舞っているのだろうが、自分もそうありたいな、と前向きな気持ちになる、そんな小説だ。